オッペンハイマーの解説!ラストの意味は?

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2024年アカデミー賞作品賞最有力候補といわれている映画オッペンハイマー。原発の父の半生を描いた本作は賛否両論を呼びました。そこで本作の理解度をあげるためのトリビアを一挙紹介します。

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冒頭のテロップ

本作は、スクリーンが炎に包まれるシーンからスタートします。そのときに次のようなテロップが流れます。

Prometheus stole fire from the gods and gave it to man. For this he was chained to a rock and tortured for eternity.

「プロメテウスは神々から火を盗み、それを人間に与えました。そのために彼は岩に縛られ、永遠に拷問されました」

ここでいうプロメテウスとはギリシア神話に登場する巨神のことを言います。彼は火を天から盗んで人類に与えたためにゼウスの怒りにふれたことで知られ、それがまるでオッペンハイマーと重なることから、カイ・バードとマーティンJシャーウィンによるオッペンハイマーについてのノンフィクション本の中で、二人はオッペンハイマーのことを「現代のプロメテウス」と呼んだのです。オッペンハイマーが「神々から盗んだ火」とは、もちろん大量破壊兵器である原子爆弾のことを指しています。

白黒

本作は白黒とカラーが使い分けられていますが、一体なぜクリストファー・ノーランは一部のシーンをカラーで、他のシーンを白黒で撮影したのでしょうか?カラーのシーンはオッペンハイマーの視点、一方、白黒のシーンは彼の敵であるルイス・ストラウスの視点を表しています。

しかしそれだけではありません。白黒のシーンは歴史の記憶を客観的に描いており、オッペンハイマーの世界へのユニークで感情的で複雑な見方を対比する設定として機能しているのです。それに対し一部のカラーのシーンには、象徴的にオッペンハイマーの内面世界を表現していると言われています。

また、オッペンハイマーは核分裂、ルイス・ストロースは核融合を表しており、それぞれのコントラストを浮き彫りにさせていたのです。

ちなみに白黒とカラーを融合させた手法は、クリストファー・ノーラン監督のメメントでも使われています。

オッペンハイマーには、クリストファー・ノーラン監督の娘がカメオ出演しているのをご存じでしょうか。オッペンハイマーが原爆を開発したことにより、広島と長崎に原爆が投下されたことで日本に甚大な被害が及ぶと、オッペンハイマーはアメリカで一躍時の人となり、祖国で英雄扱いされました。

彼は国民から拍手喝采を浴びますが、拍手の裏で人々が苦しみ、叫び声をあげるのを頭の中で聞くのでした。そのとき辺りは強い光に包まれ、女性の顔が溶けていくのが見えます。その女性こそがクリストファー・ノーラン監督の実の娘です。

娘を起用した理由は、原爆のような破壊兵器を使うと、人類は身近な愛する人を失うことになるというメッセージだったそうです。

アインシュタイン

特殊相対性理論や一般相対性理論で知られる物理学者のアルベルト・アインシュタインは、オッペンハイマーに並ぶ偉大な科学者の一人です。そんな二人は仲の良い友人であることは周知の事実で、よく意見交換していたと言われています。しかしながら二人はいつも話があったかというとまた別で、オッペンハイマーは1965年のスピーチでアインシュタインのことを頑固者と呼んだこともありました。

ちなみにアインシュタインは、オッペンハイマーと違って原子爆弾の開発に反対していたと言われており、アメリカに移住したものの敵国のドイツ出身だったことからマンハッタン計画に参加することを許されなかった経緯があります。

ジーン・タトロック

オッペンハイマーの人生で最も大きな悲劇の一つは、彼の恋人であるジーン・タトロックの死です。劇中、彼女の死はオッペンハイマーの心の中の回想シーンとして複数回見ることができます。

最初にオッペンハイマーがその場面を想像したとき、彼女は浴槽で自ら命を絶ちます。それに対し2回目には手袋をした誰かの手が彼女の頭を水の中に押しつけます。これはオッペンハイマーの主観的な想像という手法を用いたジーン・タトロックの死にまつわりセオリーを描いているものです。

というのも、ジーン・タトロックの死因は自殺、もしくは他殺の両方の意見で割れており、精神の病から自ら死を選んだという意見もあれば、CIAがマンハッタン計画に従事しているオッペンハイマーに対する共産主義の影響を抑制するために、共産主義者だったジーン・タトロックを殺害したという意見もあるからです。

いずれも推測に過ぎないため映画の中で間違ったことを描かないためにもクリストファー・ノーラン監督は、あえてオッペンハイマーの目線で、彼がジーン・タトロックに何があったのかを想像しているという前提で描かれたのです。そのおかげでオッペンハイマーが感じている疑いを視聴者も一緒に感じることができ、決定的な答えを提示せずにあの部分を伝えることに成功しているのです。

ラストシーン

物語の冒頭で、湖の前でオッペンハイマーがアインシュタインの帽子を拾ってあげ、なにやら言葉を交わすシーンがありますが、ラストもあの場所が舞台になります。二人の科学者は原子爆弾が開発されることにより、連鎖反応が世界を破壊する未来を恐れていました。

そしてオッペンハイマーはいままさにそれが現実になったと実感していたのです。オッペンハイマーは頭の中で核戦争が起きている世界を創造し、世界が破滅する姿を創造の中で見ていたのです。それは自分の功績によって世界が取り返しのつかない結末を迎えることを意味していました。

以上、映画オッペンハイマーのトリビアについてでした。

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